財団法人 鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)、東急建設株式会社(東京都渋谷区)、株式会社 大林組(東京都港区)、昭栄薬品株式会社(大阪市中央区)、日本化成株式会社(東京都新宿区)は共同研究の成果として、特殊なモルタルを吹き付けることにより低コスト、短工期でコンクリート構造物を修復する「ジョッツクリート」工法を開発しました。 本工法は耐久性と経済性、施工性に優れており、既設コンクリート構造物の延命化を図るとともに、維持管理コストを含めたライフサイクルコストを低減します。
コンクリート構造物の修復方法には、劣化部分を除去し、型枠を組んでコンクリートを流し込む工法や、乾燥した材料を空気搬送し、その途中で急結剤を合流混合する乾式の吹付け工法などが用いられています。これらはコストが高く作業環境や施工性に問題があるなどの課題があるため、経年劣化したコンクリート建造物に対し、経済的かつ耐久性の高い修復を行うことで、維持管理費を含めたコストを低減する工法の開発が求められていました。このような課題を検討する中で、「ジョッツクリート」工法の開発・実用化に至りました。
「ジョッツクリート」工法は、ポリマーセメント系のプレミックス材料と補強繊維を水で練り混ぜて調整した後、吹付け機で極めて流動性の高いモルタルを圧送し、その途中で硬化制御剤を合流混合する湿式の吹付けにより劣化したコンクリート断面を修復する工法です。
本工法には流動性と品質を高めた繊維補強ポリマーセメントモルタル(商品名称:NSパワーショット)を用いることとしています。
「NSパワーショット※」は、西日本旅客鉄道株式会社殿が規定している9項目の品質基準を満たし、断面修復材として認定されました。現在、同社の鉄道高架橋における補修工事に一部採用されています。
「ジョッツクリート」工法の主な特長は以下のとおりです。
従来の湿式の吹付け工法とは異なり、硬化制御剤を添加することによって最大厚さ100mm程度までの断面修復を、連続的に急速施工できます。このため、工期の1程度短縮を実現しました、また従来の湿式吹付け工法と比べ、ポリマーセメントモルタルの材料設計価格が約1割低減でき、低コストな修復が可能です。
従来の吹付けモルタルと異なり、極めて流動性に富んだモルタルを適用し、スムーズなポンプ圧送を可能にしました。
従来の工法では鉄筋背面への充填が困難でしたが、吹付けノズルの操作方法、ブローパイプの利用方法等を確立したため、鉄筋背面への確実な充填が可能となり、高い耐久性が確保される。
かぶり部分に繊維を混合することにより、高い耐剥落性能が確保できます。
昭栄薬品株式会社 東京支店 産資営業部 TEL.03-5833-0151 |